レーザーはんだ付けで「はんだが弾ける」「基板が焦げる」「ボイド(気泡)が入る」とお悩みではありませんか?本記事では、レーザー工法における3大品質トラブルの原因と対策、そして同軸放射温度計を活用した最適な温度プロファイル設定のコツを詳しく解説します。
はじめに:レーザーはんだ付けの品質安定化には「正しい条件出し」が不可欠
非接触でピンポイント加熱ができる「レーザー自動はんだ付け」は、微細部品や熱に弱いFPC(フレキシブルプリント基板)の実装において極めて有効な工法です。
しかし、現場で導入を進める中で、
・「はんだ供給時にパチパチとはんだやフラックスが飛散する」
・「出力を上げると基板が焦げ、下げると未はんだになる」
・「接合部にボイド(気泡)が残ってしまう」
といった品質トラブルや条件出し(パラメーター設定)の難しさに突き当たるケースは少なくありません。
本記事では、レーザーはんだ付けで発生しやすい典型的な不具合の原因と対策、そして歩留まり(合格率)を劇的に向上させる温度制御のポイントを解説します。
1. レーザーはんだ付けでよくある「3大品質トラブル」と原因
① はんだ飛散・フラックス飛散(ボール発生)
【現象】
レーザー照射中や糸はんだ供給時に「パチッ」と音がして、周囲に微小なはんだボールやフラックスが飛び散る。
【原因】
主な原因は「急激な加熱によるフラックスの急激な沸騰」です。
コテ式と比べてレーザーはエネルギー密度が高いため、予熱(プリヒート)なしで一気に高温に達すると、糸はんだ内部のフラックスが瞬間的に蒸発・爆発し、溶けたはんだを周囲に吹き飛ばしてしまいます。
② 基板の焦げ・樹脂への熱ダメージ
【現象】
ランド周辺のレジスト(保護膜)や、近接する樹脂コネクタ・レンズ等が黒く焦げたり変形したりする。
【原因】
「レーザー出力の過大」または「熱引き(放熱)に対するフィードバック不足」です。
特に、熱容量の小さな極小ランドに対して一定出力のレーザーを照射し続けると、目標温度を超えて急速にオーバーヒートを起こします。
③ ボイド(気泡)の発生と未はんだ(濡れ不足)
【現象】
はんだ内部に空洞(ボイド)が残り強度不足になる、あるいははんだが濡れ広がらず「団子状」になってしまう。
【原因】
「予熱不足によるフラックス不活性化」または「温度上昇のタイミング不足」です。
はんだが溶ける前にフラックスが十分に広がり、金属表面の酸化膜を除去するプロセスが踏めていない場合、濡れ性が悪化してボイドが閉じ込められます。
2. 不具合を防ぐ!条件出し(パラメーター設定)の4つのステップ
レーザーはんだ付けで高品質な接合(綺麗なフィレット形成)を実現するには、以下の4つのステップで条件を最適化する必要があります。
ステップ1:段階的な「温度プロファイル(予熱・本加熱)」の作成
いきなり最高温度まで加熱するのではなく、
「予熱(プリヒート)」段階を設けます。
①予熱フェーズ: フラックスを活性化させ、糸はんだ内の水分・溶剤を緩やかに揮発させる(はんだ飛散防止)。
②本加熱フェーズ: はんだの融点(鉛フリーの場合は約217〜220℃)+20〜30℃程度まで急速加熱し、濡れ広がりを促進。
③保持・冷却フェーズ: 適切な時間を維持した後、素早く冷却して結晶構造を安定させる。
ステップ2:糸はんだ供給(送り)タイミングの同調
はんだを供給するタイミングは、「対象(ランド・リード)が十分にはんだ融点以上に温まった瞬間」でなければなりません。
加熱が不十分な段階ではんだを送り込むと、冷えたはんだがレーザー光を遮って不均一な溶融を起こします。
ステップ3:はんだボール・フラックス飛散防止(糸はんだ穴あけ加工)の活用
レーザー照射時のはんだ・フラックス飛散(パチパチとはじける現象)を防ぐには、
糸はんだ自体に切れ込みや穴をあけて供給する飛散防止フィーダーの活用が非常に有効です。 糸はんだの内部に閉じ込められたフラックスや溶剤のガスを加熱前に逃がす構造にすることで、急速加熱時におけるフラックスの爆発的な沸騰を抑え、はんだボールの飛散を極限まで低減できます。
ステップ4:ワークに応じた「レーザー波長(赤外線 / ブルー)」の選択
ワークの材質(銅、金メッキ、樹脂など)によって、光の吸収率は大きく異なります。
一般的には赤外線レーザーが広く用いられますが、銅への吸収率が非常に高い「ブルーレーザー(青色半導体レーザー)」を選択することで、熱反射率が高いワークでも低出力で安定したはんだ付けが可能になります。
3. 「放射温度計の同軸配置」が品質安定の決定打になる理由
条件出しにおいて最も重要なのは、「加熱中のワーク温度をリアルタイムで把握できるか」です。
当社のレーザー自動はんだ付け装置(J-CAT330STARGATEなど)では、「放射温度計をレーザー光と同軸上に配置する構造」を採用しています。
同軸配置のメリット:
・「スポット直下」の正確な温度センシング: 照射位置とセンシング位置が完全に一致するため、スポットからズレた場所を測ってしまうエラーがありません。
・リアルタイムのフィードバック制御: センシング温度に基づき、ミリ秒単位でレーザー出力を自動調整。基板の熱引きに個体差があっても、常に設定した温度プロファイル通りに加熱でき、
「焦げ」と「熱不足」を同時に排除します。
結論:サンプルテストで自社ワークの「最適プロファイル」を確認
レーザーはんだ付けの不具合解消には、カタログ上のスペック比較ではなく、実際のワーク(基板・部品)を用いた「温度プロファイルの測定と条件出し」が一番の近道です。
当社(アポロ精工)のテストルームでは、同軸放射温度計搭載の最新レーザー装置(J-CAT330STARGATE等)を使用し、お客様のワークを使ったサンプルテストを承っております。
「現在のラインではんだ飛散やボイドに困っている」
「自社の基板で最適なレーザー条件(出力・時間・はんだ送り速度)を知りたい」
経験豊富なアプリケーションエンジニアが、貴社ワークの歩留まり向上に向けた最適な条件出しをご提案いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
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